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火室
狭火室

火室の幅が線路の幅より狭く動輪間の台枠内にそのまま収めたもの。
台枠設計をシンプルにできるというメリットがある。
車輪のバックゲージの問題から台枠の幅が狭くなる狭軌で、しかも使用炭の品質も世界的な水準から見て良好とは言い難かった日本では、大型機関車にこの方式を採用すると十分な火格子面積=火力が確保出来ず、高出力化の障害となった。
それに対し、標準軌間を採用し、高発熱量かつ灰分の少ない良質炭の入手が容易であったイギリス、特に傑出した品質で知られたカーディフ炭を産出するウェールズ地方が沿線にあったグレート・ウェスタン鉄道などでは、狭火室でも他鉄道における広火室に匹敵するかこれを凌駕する性能が得られたことから、この方式を蒸気機関車時代の最後まで採用している。


広火室

火室の幅を線路の幅より広くした、近代の大型機では一般的な方式である。広い火格子面積を確保出来るため、特に低品質炭を常用せざるを得ない各国・各鉄道で蒸気機関車の出力向上に大きく貢献した。
小車輪径の貨物型では動輪や通常の台枠の上にそのまま広火室を配置するものもあったが、大きな動輪を持つ高速用機関車では、動輪の後ろで台枠を拡幅してこれを支える従台車を置き、そこに広火室を配置することになるため、狭火室よりも全長が長くなる。
また、列車牽き出し時の後方への重心移動により、本来は動輪にかかるべき荷重が従輪にかかるようになるため、特に列車出発時に空転が生じやすくなるという問題も抱える。