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エネルギー源
化学燃料(有機燃料)

石炭やコークス、重油などの化石燃料、その他薪やガスなどの炭素資源を燃焼させることにより熱エネルギーを発生させ、これによりボイラー内の水を沸騰させて蒸気を得る方式である。
蒸気機関車の殆どがこの方式で、燃料には主に石炭、コークスが用いられる。
旧国鉄の制式機では蒸気機関車時代の後期に補助重油タンクを装備し、勾配区間などパワーが必要な際に重油を投入したほか、C59の127号機が重油のみを燃料とする重油専燃機であったことで知られている。
日本国外では重油専燃機がある程度普及した。タイなどの東南アジア各国では薪が多く使われた。
変わった例としては、東南アジアの製糖工場で、砂糖の原料となるサトウキビの絞りかす(バガス)を機関車の燃料として用いた例が多くある。


圧力の外部供給

ボイラーを有さず、外部から熱水とともに高圧蒸気を供給し、それをタンク内に蓄圧してピストンを駆動する方式を無火機関車(ファイアレス)と呼ぶ。
一般的に蓄圧に2〜3時間以上を要するにもかかわらず、その走行可能距離は著しく短いが、火を使わず煤煙なども一切出さないため、火気厳禁の産業施設などで使用された。
また、高圧蒸気と熱水の代わりに圧搾空気を用いた圧搾空気機関車や、走行可能な距離が短いという欠点を改善するために、アンモニアや苛性ソーダなどの化学薬品を使用する車両も製作された。
日本では無火機関車が1963年まで八幡製鐵構内で数多く使われていた他、浜川崎から分岐するシェル石油(現・昭和シェル石油)の精油所引き込み線で1960年代まで使用されていたことが知られている。
生まれながらの無火機関車ではないが、群馬県の「ホテルSL」(元・SLホテル)や鳥取県の若桜鉄道では静態保存されていた蒸気機関車をコンプレッサーを使って短い距離を走行させるというユニークな試みを行っている。
日本国外でも観光用としての活動が伝えられており(ドイツのマンハイムの産業博物館など)、そのほか現在も南米などで商業用として稼動している可能性がある。


電力

架線から運転台天井部に取り付けたパンタグラフで集電し、その電気エネルギーでボイラー内の水を沸騰させて蒸気を得るという機関車がスイスに存在した。
これはSBB(スイス国鉄)のE3/3形と呼ばれる軸配置0-6-0の入れ替え用タンク機関車であり、第二次世界大戦中の石炭の入手難に対応すべく2両が試作されたものである。
この形式の場合、電気を動力源(熱源)としているが、電動機や電磁石など、電気のみによって駆動力を得ているわけではなく、電力はあくまで熱源としてボイラーの加熱にのみ用いられ、最終的には蒸気で動輪を駆動するため、電気機関車ではなく蒸気機関車に分類される。


原子力

搭載した原子炉で蒸気を発生させ、蒸気タービンで発電しモーターを駆動する方式で、発電式機関車の一種である。
主に1950年代と1970年代に計画されたが、重量が極端に大きくなる、放射能漏れの危険性があるなどの問題により、実現した例は無かった。


ハイブリッド

蒸気機関とディーゼル機関を両方搭載した、ハイブリッド方式の機関車が試作された。
1926年にイギリスのキトソン社がスティル社のディーゼルエンジンを使用してロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道向けに試作機が製造され、1934年まで試験が行われたが、ボイラーなどに問題が多く実用化しなかった。